悪友Mの逆襲
Mの紹介:都内の某有名中学・高校を卒業して青学大へ。学部は違っていたが、ひょんなことで門脇と知り合う。
以来、30年のお付き合い。元新左翼だったが、今は民主党を支持。大学時代はテニスサークルのリーダーで、統率力は抜群。性格も極めて明るい。現在、某大手出版社の編集担当部長。家庭内別居状態だが、外に恋人はいない様子。ゲイではない。変な奴だ、Mは。

若疑シク覚侯ハバ 我等ノ所業終侯処ヲ 爾等眼ヲ開テ看ヨ

          政治と宗教<闘争指令第1号>
オウム真理教の麻原に死刑判決が下りたね。
  M  ああ、予想されていたことだし、あまり、驚くことはなかったよ。それより、オウムが過激路線に転換した理由の一つが衆議院選挙の大敗北と言われているけど、麻原は杉並から立候補したんだよなー?
 私 昔の衆議院東京4区で、杉並区と中野区と渋谷区でセットだった。JRの阿佐ヶ谷駅や荻窪駅の改札口を出ると、麻原のハリボテかぶった信者がいっぱいいて気持ちが悪かった。小学生は麻原のテーマソング、歌ってたしね。変に耳に残るメロディーだった。
施設も杉並には多かったと思うけど?
杉並道場に阿佐ヶ谷道場。一斉捜索の日には信者がすべて外に出されたんだけど、随分、若い連中が多かったことを覚えているよ。
ところで、政治と宗教との関係をどう考える?
いきなりすごいテーマだね。会社で嫌なことでもあったの?
いや、そうじゃないんだけど。東西冷戦が終結したら、宗教と民族が前面に出てきてグチャグチャになっちゃった。
確かに旧ユーゴスラビアなどは象徴的だったね。
昨日までお隣で仲良くお付き合いしていたのに、連邦が解体して独立国家になったら、急に民族に目覚めて殺し合いだ。宗教も更に関係を複雑にしているけど。
イスラエルとパレスチナ。北アイルランドのプロテスタントとカトリック。新疆ウイグル自治区のムスリムと中国当局。チェチェンとロシア政府。みんな宗教と民族だね。
ところで、わが日本国はどうだ?
どうだっていっても。何が?
分からないやつだな。お前も長い間、議員をやってるんだろ。日本の政治と宗教との関係だよ。まあ、宗教団体と言ってもいいが。
一般的に言えば、奈良・平安の昔から、宗教が政(まつりごと)に口を出しすぎると、世情不安に陥る場合が多かったよね。
それは洋の東西を問わず同じだな。日本ではその究極がオウム真理教だったわけだ。現在ではどうかな?
いろいろな問題はあるけど、現在は民主主義の世の中だろう。宗教団体にも政党を支持したり、候補者を支援する自由はあるよね。
一般的にはその通りだ。しかし、まったく問題がないとも思えないんだ。
と言うと?宗教団体には民主主義が存在しないと?
いや、そうじゃないんだ。宗教団体にはもともと、俺たちが思っている、あるいは学んできた「民主主義」は必要ないんだよ。絶対的な権威である教義や指導者に帰依することが重要なんだ。そう思わないか?
んー、そうかもしれない。指導者を選挙で選ぶ宗教団体って聞いたことがないしね。それでも救われればいいんじゃないの。元来、宗教はそうゆうものだろう。
それについては異議なしだ。俺も宗教団体が政党や候補者を支援する自由があると思う。問題はその決め方だよ。
よく分からないなー。僕も宗教団体から推薦をもらうときにいくつかの約束事をしたよ。
どんな内容だった?
「信教の自由を守る」「行政改革を推進する」など、極めて良識的、常識的なものだったよ。教義や指導者に絶対的な忠誠を誓え、なんてことはなかったし。お布施の要請もまったくなかった。もちろん、寄付行為は法律で禁じられているけどね。
それはその団体の幅の広さだろうな。問題は宗教団体の指導者が、ある政党の人事権や候補者決定権、あるいは政策を実質的に握っている場合だ。
確かに政党の党員でも幹部でもない指導者が、党を完全にコントロールしているケースがあれば、日本の民主主義にとって危険な状況と言わざるを得ないかもしれない。オウムの場合は、それがイコールになっちゃったから、異常な事件を次々に起こしたんだね。
宗教団体だけではないけど、支持をする団体と支持を受ける政党は一定の距離を置いて、「良好な支持・協力関係」を保っていかなければならないと思う。これは、各業種・業界団体や労働組合についても同じことが言えるんだ。
その通りだね。労働組合にもいろいろあるけど、政党への人事不介入は大原則だ。もちろん、組合の役員経験者が選挙に立候補することはあるけど、その場合も推薦の決定は民主主義のルールに基づいて決定するし、最終的な決定権は政党側にあるしね。
いずれにしろ、オウムの事件から、俺たちは多くのことを学ばなければならないんだ。時の権力が宗教団体にコントロールされるようなことがあれば、この国は本当に不幸になってしまうよ。
同感だね。