昨年12月の都知事選挙で当選した猪木直樹さんが知事として一昨日の本会議初日に初登壇し(写真中央)、施政方針表明を行いました。
 その内容で私が特徴的に感じたことを以下紹介しますが、少し気になったのはその表明の所要時間でした。
 議会運営委員会であらかじめ示されていた時間は45分程度でしたが、実際には80分前後で、その理由はとてもゆっくり話していたからです。
 その後に開かれた予算特別委員会世話人協議会を含めて、自民党からかなり厳しい意見などが出されていました。実際、私も80分はそんなに長く感じませんでしたが、“ずいぶんとゆっくりだな”とは思っていました。
 さて、初めに都政運営に対する基本方針からです。(以下、太字は大項目で、青色と茶色の間には文章があり、それぞれピックアップしたものです)
 「日本の沈没を防ぐのは東京にしかできない」ということを改めて強く確信し、今、その重責に身が引き締まる思いであります。
 単に「現状を変えて欲しい」というだけでなく「改革のスピードを加速させて欲しい」という願いであります。
 「事実に基づいて決断し、何としてもやり遂げる」という「意志の情熱」で改革を断行し、東京からこの国の将来を切り拓いていく覚悟であります。
 戦前は天皇主権、戦後は国民主権というのが教科書の歴史ですが、その実は、戦前も戦後も一貫して官僚主権であります。
 「官僚主権に埋もれた力を見つけ出し、それを伸ばすことこそが日本を沈没から救う」という「思想」で首都の舵取りを担う決意をいたしました。
 作家として培った力、発想力も駆使して、東京の生きた現場から霞ヶ関の壁を打ち破り、「東京モデル」とも呼ぶべき新しい政策を展開することで、日本全体に「改革のうねり」を巻き起こしてまいります。
 そして、ここで基本的なスタンスが力を込めて示されます。
 改革の先にある社会の姿は「一人ひとりが輝く社会」であります。時代遅れの規制や既得権益に封じられていたものを解き放つことで、新しい価値と富が創造され、それが社会の連帯を支え、さらに強固なものにしていく。そういう社会を築き上げていきます。人々や企業が自分の個性と才覚を最大限発揮できる環境を整え、強い人が弱い人を助け、余裕のある人が余裕のない人を助け、若者と高齢者が知恵と情報を伝え合う、そうした「絆」を張り巡らせることで、東京を世界一の都市へと押し上げてまいります。
 平成25年度予算案等
 知事として初めて手がけた平成25年度予算案は、スピード、先駆性、健全性、その3つを備えた「攻めの予算」として編成したものであります。
 東京を世界一の都市に押し上げる政策展開
 防災上の最大の弱点となった木造住宅密集地域の不燃化は待ったなしであります。意欲ある地元区と連携して、不燃化特区の指定を現在の12地区から50地区に大幅に拡大してまいります。
 民間の事業者にも、それぞれの従業員のために水と食料などを3日分備蓄するよう義務付けております。
 事業者の皆様、さらに備蓄の1割の上乗せをお願いいたします。 この1割というのは、観光・ビジネス・ショッピングなど、災害発生時に街に出ている人たちのためのものです。

 一刻を争う事態の中で、救出に向かうヘリコプターが自らの飛行位置を確認し、どの建物に被災者が取り残されているのかが上空からすぐ分からなければ、十分な活動はできないんです。そこで、学校や病院などの屋上に目印となるヘリサイン、それを整備します。現在800か所しかありませんが、3か年で1600か所へと倍増させます。
 東京都では4年前に、「住宅」か「施設」かという行政の縦割りを突破して「ケア付きすまい」という新しいモデルを打ち立てました。
 ケア付きすまいは2年後に1万戸、老人ホームは4年後に2千4百人分を目指して、整備を加速いたします。
 都は全国に先駆け、保育ママと保育所の中間にある6人から19人の子供を預かる小規模保育についても、開設資金を全額補助するなどの支援策を開始いたします。6人から19人のところが隙間になっている。この制度の隙間を埋めるため、「東京スマート保育」と、こういうふうに保育所の名前を定めまして、愛称ですけれども、略称「スマ保」というふうにして、待機児童を確実に減らしていきます。覚えやすい方がいいんです。
 放置自転車対策では、既にこれをビジネスチャンスと捉える企業の先駆的な動きも現れており、こうした民間の力をさらに引き出しながら対策を進めます。
 外環道の関越・東名高速の間については、2020年早期に確実に完成させるよう、国に要求してまいります。
 三環状道路が整備されても、現在の料金体系のままでは、都心方面に向かった方が外側の環状道路を利用するよりも安上がりであり、都心の通過交通を減らす効果は十分に発揮されないことがあります。交通量が適切に分散され整備効果を最大限発揮させるような料金体系の構築を、国や高速道路会社に求めてまいります。
 これまで東京電力と契約してきた都庁舎、この都庁の建物、その電気の大体3分の1、3000キロワット分を、近隣にある、あのパークハイアットホテルの地下なんですが、地域冷暖房センターで発電した電力に切り替えました。これにより電気料金は年間800万円下がります。
 電力システム改革に先鞭をつけるため、東電社内に競争原理を取り入れる社内カンパニー制の導入を確実に進めさせてまいります。
 漏水率わずか3%という東京水道の持つ技術力は世界一です。一昨年、漏水率が東京の10倍・30%もあるタイで、試験的に東京の技術を導入したところ、導入地区の漏水率が東京と同じ3%まで低下しました。
 出産や育児などで離職した女性の再就職を支援するため保育サービス付きの職業訓練を実施します。
 現代の若者たちの間では、台所やお風呂、トイレなどを共有し、共同生活を行う「シェアハウス」という新しい住まい方に関心が高まっています。都では、こうした動きを捉え、民間のアイデアを十分に活用したシェアハウスの社会実験に向け、検討を進めてまいります。
 来年度から、スクールカウンセラーの人数を700人から2倍の1400人に倍増し、都内公立小・中・高等学校2100校全てに配置します。
 今年を新たな時代の始まりの年にする
 東京都は首都政府として、東京だけでなく、全国に対しても責任を有しております。首都公務員である都職員の満点は120点満点でありまして、100点分は東京、20点分は全国のため、そのために力を使わなければいけない。
 以上、かなり荒っぽい抽出でしたが、初めての施政方針表明としては“合格”だったと思います。なお、オリンピック・パラリンピック招致などについて熱く語られていましたが、それらは当然のことと思いますので省略します。

2月22日(金) 猪瀬直樹知事が初登壇
(写真をクリックすると拡大します)