”ハニートラップ”という言葉は以前から知っていましたが、小説とはいえ、
公安や外事警察業務に精通している著者の作品ですから、それがタイトル名になった文庫本をいっきに読みました。
内容についてはもちろん省略しますが、
中国による日本の政治家や技術者などに対するハニートラップの実態はどのようになっているのでしょうか。
それについて、かつての総理大臣が罠にかけられてしまったことは永田町では公然の秘密のようですが、それが原因で長期にわたり経済援助が行われていたとするならば、わが国にとって大きな問題であったとおもいます。
さて、
後半の舞台は杉並の西荻窪駅周辺であり、レストラン(というかスナック)という設定です。かなり詳しい街の描写ですが、これは著者が以前に西荻窪に住まわれていたからでしょう。
また、
都議会と警視庁との関係も
総務部企画課庁務担当という一般には知られていないセクションが登場します。まあ、実在する組織であることは間違いないのですが。
ところで、作者の濱嘉之さんについては、
2008年4月7日のホームページで紹介していますので、日付をクリックしてご覧ください。
最近はお会いしていませんが、公安、外事、地域(交番)などをテーマにした作品を次々とヒットさせています。これからもいっそう活躍されることを期待しています。
それから、現実の話ですが、大手商社や最新鋭の技術を持っている企業の社員がハニートラップにかかってしまった場合、初期段階で“正直”に告白すれば、不問(あるいはそれに近い処分)に付す制度(もちろん公表はしていませんが)もあるようです。
「そんなことをした男が悪い」というのは簡単ですが、この国を守るための防御策としては、やむを得ない、仕方ないことかも知れません。