少子・高齢化に伴い、私たちの老後は以前とは全く異なる状況にあります。少子高齢化だけの問題ではありません。価値観の変化も、老人がおかれる環境の変化をもたらしているのかもしれません。
 日本の人口は逆ピラミッド型。少ない若者が、多くの老人の面倒をみなくてはならないことになっています。このことから、医療費がかさみ、国民皆保険制度の保持がむずかしくなっていることは、周知の事実です。
 厚生労働省は、このようなことから、2006年突然医療と介護を必要とする高齢患者の受け皿である「療養病床」を2011年度までに全廃し、医療療養病床は大幅に縮減する(目標値は15万床)という方針をだしました。現在療養病床数は介護・医療合わせて38万床ですから、23万床削減されることになります。
 厚生労働省は、削減される23万床を老人保健施設へ15万床から17万床移行させ、有料老人ホームやケアハウスに6〜7万床移行させるつもりのようです。しかし、転換型の老人保健施設は、基準が現在の療養病床に比べ厳しくなっており、本当に転換できるのか疑問であるという声があがっています。  
 また、昨今有料老人ホームが経営困難に陥り、潰れているケースもあります。終の棲家として、高い入居金を払って入居しても、途中で他施設へ移動させられたり、再度新施設へ入居金を支払わされたりすることもあります。
 私たち人間は、長寿化すると癌の罹患率は高くなりますし、生物学的に病気になりやすくなります。高齢化が進む日本において、医療費の問題はあるにせよ、高齢者の病気が若者にくらべ少なくなるということはありえません。また医療技術の進歩により、高齢者の寿命は確実に延びていきます。従って、繰り返しますが、医療費の問題をのぞけば、療養病床はますます必要になってくるのです。 
 東京都病院協会副会長である安藤高朗氏によれば、「日本はかつて北欧にならい、後期高齢者はQOLの重視で積極的治療を控えるべきとの考えがあったが、北欧やヨーロッパでは最近高齢者の積極的治療を希望するケースが増え、慢性期のベッドを増やそうという動きがある」そうです。
 日本はかつて、人生の先輩である老人を敬ってきた歴史があります。隣国である中国や韓国では、まだその価値観が続いています。高齢者が人生の師として、最後の時を心穏やかに迎えていただける施策を厚労省にはつくっていただきたいと思います。
 東京都厚生委員会委員長として、私は東京にお住まいの高齢者の方々の、医療体制、介護体制について、さらに研究を進めてまいりたいと思っています。

5月6日(木曜日)

高齢者医療・介護
体制の行方


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